2011年02月18日

『焼肉ドラゴン』 新国立劇場 小劇場

2008年の話題作の再演です。
初演の舞台は観ていないのですが、NHKの劇場中継を途中から観て、あまりの素晴らしさに衝撃を受けていたので、今回は待ちに待った再演でした。それも初演時とほぼ同じ配役・スタッフでの再演です。
日本語とハングルのチャンポンで演じられるという型破りの芝居で、その年の様々な演劇賞を総なめにしました。
大阪万博のころの大阪、立ち退きを迫られる朝鮮人集落を舞台に、焼肉屋を営む在日朝鮮人一家の懸命に生きる姿を描いています。
作・演出の鄭義信は、登場人物に様々な過酷な運命を背負わせます。父は、太平洋戦争で片腕を失い帰るべき故郷の村を失い、母も済州島から逃れて来た。静花、梨花、美花の3姉妹もそれぞれ運命を背負って北朝鮮、韓国、東京へと旅立ち、長男時生は、学校でいじめにあい遂には自死してしまいます。そして、最後、集落は強制施行され立ち退かされることになります。
よくぞここまで悲惨なシチュエーションを設定したなと感心するほどの悲惨さでもあるにもかかわらず、希望だとか未来だとか生きる力だとかを感じさせてくれる不思議な芝居です。
素晴らしい役者たちです。母親役の高秀喜、父親役の申哲振の二人の存在感には圧倒されます。
父親役の申哲振が、三女の結婚相手の日本人に自らの歴史を語る中で「働いて、働いて、働いて」と抑揚なく淡々と何度も繰り返したセリフは、歩んできた人生の重みそのもでした。
最後の場面で、亡くなった長男時生が、トタン屋根の上に登って旅立っていく家族を見送る場面、時生が大好きだった家族やこの街を思うセリフと散る桜の花びら。久しぶりに観た美しい舞台景色でした。
この年になるとどうも涙脆くなって恥ずかしいのですが、この場面泣いちゃいました。
2月20日(日)が東京公演千秋楽。その後、韓国、兵庫、北九州と巡演する予定ですが、もう一回この家族に会いたいそんな思いになる芝居です。
(実は、開演3時間前からキャンセル待ちして観ました。執念です)
新国立劇場のHP
ソウル公演はこちら
兵庫公演はこちら
北九州公演はこちら
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jnks1951 at 23:59│Comments(0)TrackBack(0) 映画・演劇 

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