愛読書や気になる本、雑誌記事等々

2011年05月29日

「日本の刺青と英国王室」小山 騰(藤原書店)

鎖国が解かれ、駆け足で文明開化を目指した日本では刺青禁止令が出されたというのに、先進諸国の西欧人それもヨーロッパの王室のメンバーまでが、刺青を入れたがったという不思議な時代。

刺青自体は宗教的な理由や、身体装飾として世界中に存在していたのに、日本の刺青の技術、デザインは、当時群を抜いていたようで、お土産に彫っていったそうです。
現エリザベス女王の祖父にあたるジョージ5世は、1881年、王子時代海軍の少尉候補生として軍艦で来航、15歳で龍の絵柄の刺青をしたそうです。(映画「英国王のスピーチ」に登場するジョージ6世のお父さんですね)

一読してみて、何故、何のために彫る必要があったのか今一つ分かりません。痛い思いをしてまで、なんで?
お土産とか、海に沈んだ時に遺体の身元が分かりやすいとか、他のみんなが彫るからといわれても、かなり痛い思いをして背中に彫っても、自分では見れないし、痛がりの小心者には想像もできません。

それにしても、著者の徹底してオリジナル資料にあたって確認していく執念には、仕事柄(ケンブリッジ大学図書館日本語コレクション担当)かもしれませんが、感服しました。

単行本: 272ページ
出版社: 藤原書店
ISBN-10: 4894347784
ISBN-13: 978-4894347786
irezumi
日本の刺青と英国王室―明治期から第一次世界大戦まで


jnks1951 at 10:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年05月17日

「容赦なき戦争」ジョン・W.ダワー(平凡社ライブラリー)

第二次世界大戦、太平洋を挟んで向かい合った日本とアメリカの戦争が、何故悲惨なものになったのかを人種差別の視点から考察したもの。
白人が有色人種を差別してきた長い歴史だけでなく、日本が太平洋戦争の大義のために作り上げた西洋人蔑視・差別や日本がアジアの盟主となるための他のアジア諸国民に対して行った差別が、太平洋戦争の悲惨さの根底にあったことを解き明かしています。

本書は、1986年今から25年も前に書かれたものですが、今読んでも決して古くありません。
現在の世界情勢をみると、依然として人種差別が一因となってさまざまな紛争や悲劇が引き起こされているように感じられます。太平洋戦争当時よりも事態は深刻かもしれません。

この本を読んでいてふと思ったのですが、今の日本人に太平洋戦争当時叩き込まれた差別意識が残っていないでしょうか。日本人は他民族・他人種とは違うんだというような何か危ない意識がどこかにあるような気がしてならないのですが。

色々な面で示唆に富んだ名著といって良い一冊だと思いました。
読み切るのだいぶ苦労しましたが。

「容赦なき戦争」
(War without Mercy - Race and Power in the Pacific War)
ジョン・W.ダワー(著)
出版社: 平凡社 (2001/12/10)
ISBN-10: 4582764193
ISBN-13: 978-4582764192

mercy
容赦なき戦争 (平凡社ライブラリー)


jnks1951 at 00:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年03月03日

「日本の森はなぜ危機なのか」 田中淳夫 著 平凡社新書

2002年に出版された新書です。
ちょっと古くなっているかもしれませんが、なるほどと思わせてくれることがいくつもありました。
先進国で国土に占める森林の比率が、日本ほど高い国はないそうです。
間伐をしないから森が荒れるとかと言った常識だと思われていることも、見方を変えればそんなこともないようです。
ただ「森林保護」だけでは、問題は解決しないことがよく分かります。
日本の森はなぜ危機なのか―環境と経済の新林業レポート (平凡社新書)
田中淳夫_1

jnks1951 at 00:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年11月30日

「Tokyo By Tokyo:東京による東京案内」 発行CLASKA

昨年12月に開催された「UK-JAPAN2008」の公認イベントの「How Very Tokyo(ブリティッシュグラフィックデザイナーによる新しいTokyoの視点)展」(昨年12月22日のブログ記事)は、このガイドブックの発刊のキックオフ・イベントでした。

その後、どうなったのかと思っていたのですが、土曜日に目黒のCLASKAへ行って、今年3月にガイドブックが発刊されたのを知りました。

発行:CLASKA、定価:本体1,200円(税別)、アマゾンでも購入できます。
ガイドブックって、難しいですよね。ガイドブックなら、本来定期的にメンテナンスもしなきゃいけないし。
この本は、東京観光スポットのガイドやショッピング案内だと思わないほうが良いですね。日本人や東京人が読んでも良いんじゃないでしょうか。
若干苦言を呈すれば、日本語原文を比較してみないと分かりづらい箇所があったり、装丁が固すぎて、ページを開いた中心部分に近いところの文字が読みにくく、字も小さい点が気になりました。

IMG_1

jnks1951 at 01:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年02月06日

「逝きし世の面影」 渡辺京二

020601kyojiwatanabe 600ページ。文庫本サイズとはいえ、正月休みでは読みきれるような軽い内容じゃありませんでした。日本は、封建的な古い時代を全面的に否定して、明治維新により近代国家への道を歩んだが、「この国の文明」が築き上げてきた大切なものまで否定し失ってしまった。幕末から明治にかけて来訪した西洋人が書き残した書物を丹念に調べあげ、西洋化・近代化する以前に存在した「文明」の特徴を具体的な事象で説明しています。確かに自分(日本人)のことは自分では分からないわけで、否定・肯定いずれにせよ異邦人の目をとおして初めて様々な事象が記録として残すことができた。読み終わって、いくつかの失われた事象は、共感できる部分もあり、形は失われても心性のなかでは、現在でも生きているように思えます。
 平凡社ライブラリー 1,900円。(平凡社ライブラリーはいいですね)



jnks1951 at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2005年03月14日

「韓国の食」黄慧性+石毛直道

kankokunoshoku なんだかブームに影響されているみたいでイヤなのですが、イザベラ・バードの「朝鮮紀行」に続いて、今度は韓国食文化について平凡社ライブラリー2月の新刊「韓国の食」を読んでいます。三分の一ぐらい読んだところですが、気候も食材も似通った日本と韓国の食文化が、なぜこのように異なるのか似ているのか等なかなか興味深いものがあります。筆者は朝鮮王朝宮中料理の伝承者と日本人民族学者で、二人の対話を文章化したものです。


jnks1951 at 23:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2005年01月10日

「朝鮮紀行」イザベラ・バード


朝鮮紀行―英国婦人の見た李朝末期
イギリスの女性旅行家イザベラ・バードの「朝鮮紀行」を手に入れました。同じ著者の「日本奥地紀行」(平凡社)と「ロッキー山脈踏破行」は既に読んでいて、19世紀末の日本とアメリカの奥地の生活の様子が比較できてなかなか興味深いものがありました。
 「朝鮮紀行」も読みたかったのですが、値段が高い(2分冊で6千円)平凡社の東洋文庫の「朝鮮奥地紀行1、2」しかないと思っていたので諦めていましたが、たまたま、講談社学術文庫に「朝鮮紀行」の邦題で収録されているのが分かったのです。(昨年発刊された「韓国と日本国」朝日新聞社の中にに書いてありました。これも良い一冊でしたが)
 明治初期のまだ鎖国が終わったばかりのような時代に、40過ぎのイギリスのオバサンが一人ではるか東方の国を、それもわざわざ奥地を旅行するわけですから、さすがイギリス人とそれだけで感動してしまいます。

日本奥地紀行


ロッキー山脈踏破行

jnks1951 at 14:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)